仲間と歩く、あみいの日記☆

双極性障害あみいのひとりごと~

看護師になったきっかけ2

大好きな父

私は父が大好きだった。

一人っ子だった私を父は溺愛していた。

 

「大人になったら一緒に酒を飲もう」

よくそう言っていた。

父はどこに行くにも私を連れて行っては

「今日は姫とデートなんだ」

嬉しそうにそう言っていた。

 

私は大人になり、准看護師の資格を取り

働くことにも遊ぶことにも楽しかった時期。

私は父とは別に暮らしていた。

 

そんなとき父が

「最近やたらと黄色い痰が出るんだがどうだ?」

と電話してきた。

私は「血痰じゃないんだから大丈夫なんじゃない?」

と答えた。

 

何も考えてなかった。

あの頃の私は

友達や彼氏と遊ぶことに夢中で

そんな父の言葉を軽く流してしまった。

 

あの時私が気づいていたら

あの頃に戻れたら・・・

タイムマシーンがあったら

と今でも悔やむ。

決意のとき 

やがて私の結婚が決まって

父に報告したとき

嬉しそうに婚約指輪を見せたとき

 

父が言った。

「肺がんになった。余命三か月だ」

あっさりと。

 

私は固まった。

 

あのワンシーンが一瞬にして蘇った。

「黄色い痰が出るんだが・・・」のあのシーンが。

 

私は

泣くのをこらえて

父に涙を見せないように

 

すぐに自宅に帰った。

自室へ走って泣きながら学生時代のテキストをめくった。

 

「私のせい。」

「あの時私が気づかなかったから。」

「知識がなかったから。足りなかったから。」

私は取り乱していた。

 

父は入退院を繰り返し

そして

一般病棟から

緩和ケア病棟へ移った。

 

あんなに大きくて強かった父。

だんだん小さく弱弱しくなっていく。

 

泊りで看病していた時は、

「寒くないか?」と気遣ってくれた。

自分の方が大変なのにね。

 

父は最期まで頑張った。

弱音を吐かず、文句も言わず。

 

たまに涙を流していた。

私は何も言えなかった。涙を拭くことしか。

 

一年半の闘病の末、父は天国へ旅立った。

 

父が私に宛てた手紙を

父が亡くなった後、祖母が渡してくれた。

涙で歪んだ文字。

 

どんな思いでこの手紙を書いたんだろう。

涙が止まらなかった。

 

辛いとき苦しとき

今でもその手紙を読み返す。

お守りの手紙。

 

なんで死んでしまったんだろう。

なんでここに居ないのさ。

漠然と思う。

 

この悲しみは何なんだろうね。

この世にこんなに辛いことがあるんだと

生まれて初めて知ったときだった。

 

元旦那さんは「お前のせいじゃないよ」

と言ってくれたけど

病気の兆候を知っていたのは私だけ。

 

あのとき私が気づいていたら、

今も父はここに居たのかもしれないのに。

 

「これ以上大事な人を失うのは嫌だ。

まだまだ知識を積んで看護師になって

家族や大事な人を守りたい。」

 

看護師になるきっかけは人それぞれだけど

私にはそんな決定的なきっかけがあった。

 

大切な人を守れなかったこと。

大好きな父を失ったこと。

 

その後悔が私を動かした。

 

私は看護師になると決めた。

父の自慢の娘になると決めた。 

 

 

 
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